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ある一つの相続の物語③14 Nov. 2022

よもや、この話をすることになろうとは思わなかった。

私の人生の最初のはっきりとした記憶は葬式である。
幼稚園に通っていた私は、同級生の女の子の葬式に参列していた。その子は小児ガンであった。名前も覚えている。
しかし、その記憶に感情は伴っていない。死を理解するには、私は幼すぎたのであろう。

人の葬儀に参列すると、そのときの光景が蘇ってくる。その記憶は、私が彼女から受け取った重要なきっかけとも言える。

相続というのは、法律の力によって発生するものである。それがゆえに、人の意思にかかわらずとも、亡くなった人の財産は相続人に受け継がれていく。
しかし、人の死が周囲に与えるものは、相続だけではない。むしろ、温もり、優しさ、言葉、思い、表情などが記憶となって引き継がれていく。亡くなった人の存在を引き受けることとも言えるであろう。残された人の悲しみはその裏返しである。

相続という観点からいえば、幼い彼女の死はあまり意味をなさないことであろう。しかし、彼女の存在、彼女が生きた生は確実に私に引き継がれている。私が相続に関わる仕事をしているのもその影響なのであろう。

私たちが自分にも必ず来るであろう死を契機として発生する相続について考えるとき、必ず、相続以外のものを考える必要がある。死の本質は相続の発生ではないが、だからこそ、自分の相続について私たちは生前に考えるべきなのである。それは私たちが他の人の存在を引き受けるために、である。