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ある一つの相続の物語⑤19 Dec. 2022

私の記憶にある幼稚園生活での思い出は、2つある。いずれも酸っぱい思い出であるが、片方は苦酸っぱい思い出、もう片方は甘酸っぱい思い出である。

幼稚園では年に一度文化祭があり、各クラスでは出し物を用意していた。当時の私のクラスでは、あるストーリーにしたがってスライドを映し出し(とは言っても、現在のようなプロジェクターなどはなく、今ではほとんど見かけないOHPであった)、それに合わせて園児がセリフを読むというものであった。園児は、OHPフィルムに絵を描いたりして準備していた。
私の担当した内容は、全体のストーリーは思い出せないが、電車が線路を走っていくという場面であり、それなりにセリフも練習したのだろうと思う。
しかし、私は、練習の甲斐もなく、セリフを間違えたのである。おかげで、その場面はやり直さないとならなくなり、私は落ち込む結果となった。

このことが原因なのか、私は人前で何かをするのを避ける性格となった。今でこそ、このようなコラムを書いているが、人前で話をしたり、何か表現するというのを10年以上、封印することとなった。