その20 成年後見ってなに?28 Jul. 2022
こんにちは。司法書士の竹野です。
前回に引き続き、後見人等が出来ないことのお話をしたいと思います。
3.身元保証人、身元引受人、入院保証人等への就任
成年後見人が身元保証人等になることはできません。
後見人が身元保証人になってしまうと、後見人は被後見人の代理人であるので、自分自身の身元を保証するという矛盾が起きてしまうんですね。
また、後見人が被後見人の債務を保証するようなことになれば、利益相反になります。
利益相反とは「本人の財産を守るべき存在の後見人が、本人のお金を立て替えた保証人として、本人へお金の請求をする」といったように、後見人としての立場と身元引受人(身元保証人)としての立場、双方の利益が反した状態をいいます。
よくないですよね。
利益相反が生ずるような行為は、後見人はおこなうべきではないですね。
とはいっても、実際には、被後見人が施設や病院に入所する際に、身元保証人や身元引受人を求められることはあります。
その場合には、
・後見人がついていることで、連絡先は確保されていること
・不測の事態には、後見人が窓口となることを伝えると身元保証人(身元引受人)が、不要になるケースもあります。
4.婚姻、離婚、養子縁組・離縁、認知等を代理する、遺言書を代わりに書く
このような行為もできません。
上記の行為は、身分行為と呼ばれます。
身分行為とは、法律上の身分関係に関する法律効果を発生させ、あるいは変更、消滅させる行為です。
身分にかかわる行為は、本人の意思がもっとも尊重されるべき行為であり、このような行為について本人以外の人が代理をしたり、同意をしたりすることは性質上なじまないからです。
同じ理由で、後見人が本人の代わりに遺言を書いたりすることもできません。
次回も成年後見のお話です。後見人になるために資格は必要か?をお話します。
(その21に続きます)